basilsの日記

イノベーションについて考察するブログ。その他、アルバイト日誌、感想文、雑感など。

中アーキテクチャ・外アーキテクチャという考え方を、概念に応用する

概念づくりのプロセスをアーキテクチャ論で説明できるとすれば、概念に中モジュラー-中インテグラル、外モジュラー-外インテグラルという考え方を適用することもできるのではないか。 まず概念が中モジュラー的か、中インテグラル的かというのは、その概念…

アーキテクチャ論で論じる、概念の「切れ味の鋭さ」の正体

アーキテクチャ論を応用すれば、概念の「切れ味の鋭さ」の正体も説明できるかもしれない。切れ味が鋭い概念とは、概念と現実の擦り合わせ=外部統合と、概念を構成しているコンポーネント間の擦り合わせ=内部統合、の両方に成功している概念のことではない…

アーキテクチャ論から見る、概念づくりのプロセス

新しい概念が生まれる過程は、アーキテクチャ論によって分かりやすく表現できるかもしれない。すなわち、以前(http://basils.hatenablog.com/entry/2013/05/19/015925)に書いた「足し算的過程=既存の概念と概念を組み合わせる過程」は組み合わせ(モジュ…

イノベーションの本質は何なのか? -文化の劣化コピーは、同質化を進める③-

前回はこちら→http://basils.hatenablog.com/entry/2013/08/26/225438 このように、1つの言葉、1つの概念といえど、それが成立するまでには長い紆余曲折があり、淘汰された類似物があり、関連概念があり、先祖格としての概念があり、そこから派生していった…

イノベーションの本質は何なのか? -文化の劣化コピーは、同質化を進める②-

前回はこちら→http://basils.hatenablog.com/entry/2013/08/26/010643 製品アーキテクチャ論において、モジュラーとインテグラルという対立的な概念が登場してきたのは、最近のことである。こうした洗練された概念が出てくるまでに、さまざまな試行錯誤があ…

イノベーションの本質は何なのか? -文化の劣化コピーは、同質化を進める①-

前回(-連続的に作用するものは何か-)はこちら→http://basils.hatenablog.com/entry/2013/08/23/215729 情報が連続的に作用するのと同様、文化の劣化コピーも連続的に作用するのではないか。ここでいう文化の劣化コピーとは、オリジナルのオリジナルたる…

イノベーションの本質は何なのか? -連続的性質を持つ要素には、どんなものがあるか?-

前回(-貨幣、実数、空間についての考察-)はこちら→http://basils.hatenablog.com/entry/2013/08/19/225410 ところで、連続的性質を持つ要素は、実数や貨幣など数的に表現できるもの以外にあるのだろうか? 記号自体は分節的だが、記号のやりとりは連続的…

イノベーションの本質は何なのか? -貨幣、実数、空間についての考察-

世界には数多の既存の要素が飛び交っていて、それらは自らの力学にしたがって絶えず合従連衡を繰り返している。 そうした運動の産物のうち、私たちにとって未知だったものを、私たちが「新しいもの」と呼んでいる、と考えられるだろう。そこで、これらの要素…

イノベーションとは結局何なのか? -企業には顔があるが、貨幣には顔がないという違いの帰結-

世界には数多の既存の要素が飛び交っていて、それらは自らの力学にしたがって絶えず合従連衡を繰り返している。 そうした運動の産物のうち、私たちにとって未知だったものを、私たちが「新しいもの」と呼んでいる、と考えられるだろう。 この「要素」には、…

「風立ちぬ」を見た -菜穂子の孤独についての感想-

昨日「風立ちぬ」を見た。家に帰った後も余韻が続いていて、好きなシーンを反芻していたりした。 一番好きなのは、結婚のため菜穂子が離れに向かうシーン。黒川さんと菜穂子が提灯で青白く、幽霊みたいに浮かび上がっていて、この世ならぬ美しさがあった。そ…

イノベーションとは結局何なのか? -その本質は組み合わせか?-

人間の記憶は、既存の要素から新しい要素を生み出すことができる。人が何か新しいことを考えつく瞬間、外部から情報を取り込むことはできない。考えつく瞬間は文字通り瞬間なのであって、それと情報の取り込みを同時に行うことはできない。 新しいことは、原…

イノベーションの行く末 -ゴミ屋敷の中のゲームキューブ-

闇金ウシジマくんを読んで、イノベーションの行く末を考えさせられた。 この漫画で心に来たことはいくつもある。しかしイノベーションという現象との関連で言うと、特に来たのはゴミ屋敷の中のゲームキューブ、という光景だった。

「新しさ」が内包する矛盾について

私たちが何かを「新しい」というとき、それは何を意味しているのだろうか。新しいとは、何に対して新しいのだろうか。 まず、この世に一度も存在したことのないもの、という意味ではないことは確かだ。私たちにそれを確認するすべはないし、仮にそれがあった…

イノベーションとは結局何なのか?  -「概念」と「言葉」を区別する必要性-

イノベーションとは、新しい概念を生んだり、概念同士の新しい組み合わせを生み出したりすることだと思う。 しかしここで、「概念」と「言葉」は区別しなくてはならない。言葉になる以前の概念もあるはずだからだ。

新しい概念生成というイノベーションは、どのようにして発生するのか?

一応「新しい概念は、それを生み出そうとして生まれたものではないというパラドックスについて」http://basils.hatenablog.com/entry/2013/06/14/012107の続き。 新しい概念は、それを生み出そうとして生まれるものではない。概念A誕生以前には、定義上概念A…

コールセンターのアルバイトを徹底的に振り返る ②

前回に続いて、コールセンター業務について。 休憩時間は、午前に10分休憩が1回、昼時に1時間休憩が1回、午後に30分休憩と10分休憩が1回ずつ。朝9時から夜9時の12時間の勤務にしては、少なすぎるように見える。 しかし、実際に話している時間は勤務時間の半…

コールセンター業務のアルバイトを、徹底的に振り返る

コールセンター業務のアルバイトに行った。1週間後の参院選に関する電話調査で、7月13日が研修、14日と15日が実務だった。研修は10時から12時の2時間、実務は朝9時から夜9時までの12時間だった。時給は1000円で、7月26日に振り込まれる。 部屋は奥行き15メー…

イノベーションに固有の自己運動の論理は何だろうか?

イノベーションが新しい概念の生成と普及だとするなら、概念の生成と普及のプロセス、および概念が製品やサービスとして実体化するプロセスを分析する必要があるだろう。 これらのプロセスを考察するうえでカギになるのは、概念の価値とは何か、ということだ…

情報や概念の価値は、どこから生まれているのか?

複製が無限に可能・同時利用が可能な情報や概念の、「価値」の源泉は何なのか? 物理的実体をもつ製品であれば、希少性や労働による価値の付加、それからそれがもたらす効用が価値の源泉になるだろう。しかし情報や概念の場合は、前の2つをを源泉にすること…

廃品回収バイトが意外と楽しかった件

先日廃品回収のバイトに行ってきたので、その時のことを書いとこうと思う。 仕事開始は9時だったが、集合場所のアパートが見つからず右往左往。結局8時57分ごろに担当のKさんと合流できたが、ギリギリで着いてしまったので怒られる。 まずは1件目の家。よく…

俗論の恐ろしさ -現実から俗論が生まれるのではなく、俗論が現実を作る-

前回(http://basils.hatenablog.com/entry/2013/06/27/094932)書いた、自己成就的予言について考えたことの続き。 前回は、就活競争やマーケティング、貨幣といった現象を自己成就的予言として考察した。ここから分かるのは、「俗論」の恐ろしさだ。

自己成就的予言はどこにでもある -就活・マーケティング・貨幣-

長谷正人『悪循環の現象学 「行為の意図せざる結果」をめぐって』という本を読みながら、自己成就的予言について考えてみた。 この自己成就的予言という現象は、思ったよりも広く見られるようだ。もしかすると、「就活の激化」や「マーケティングによる流行…

感想:渡辺京二『逝きし世の面影』 かつての日本の文明との距離

江戸時代の日本がどんな文明を持っていたのか、を仔細にわたって描写した本。ただし、ありがちな「日本文化って素晴らしかったんだよ!」論とは一味違う。 ありがちな本だと「自分たちの先祖たちが持っていた文化としての日本文化」という視点をとってるが、…

保守的で常識を疑わない研究者と、彼らに対する心境の変化

大学に入って、研究者というもののイメージがずいぶん変わった。それまで研究者というのは洞窟に棲む修行僧のような存在で、森羅万象に明るく、世俗的な名誉や喜びとは全く無縁の、真理の探究だけを生きがいとする人々だと思っていた。 しかし、大学にいる研…

お役所は案外イノベーションに向いているのでは?、というくまモンの事例からのお話

最近くまモンが人気だ。地方自治体によるゆるキャラブームの火付け役といってもいい存在だ。熊本県と関係ないグッズすらたくさん登場している。このくまモンをダシに、イノベーティブなプロジェクトの生まれやすい環境を考えてみた。すると、お役所的組織は…

多体問題としての社会現象

昨日(http://basils.hatenablog.com/entry/2013/06/18/002410)の続き。3つ以上の現象間の相互作用について考えるべく、力学系における多体問題を見てみたい。 多体問題とは、「互いに相互作用する3体以上からなる系を扱う問題(ウィキペディアより)」であ…

「原因-結果」というモノの見方の妥当性について -「ロック・イン」という相互強化現象ー

複数の現象間の相互作用を、どう分析すればよいか、について考えてみた。社会はこうした作用に満ち満ちている。このような作用しか無いといってもよい。これを分析する際には、おなじみの2現象間の「原因-結果」というものの見方を放棄したほうがいいのでは…

特権性を意識しないことが特権性であるという不可思議について

今日知り合いの女性と話していて、とても面白いことに気づいた。それは、自らの特権性を意識していないことこそが、その人の特権性の如実な象徴だ、ということである。 彼女の実家では、夜となく昼となくクラシック音楽がかかっていた。彼女はそれらの曲の名…

「新しい概念は、それを生み出そうとして生まれたものではない」というパラドックスについて

革新的イノベーションと言われるイノベーションも、開発者たちにとってみれば実は漸進的なイノベーションの集大成なのではないか? 革新的イノベーション(丹羽, 2006)と呼ばれるナイロン・パソコン・カーナビなどは本当のところどのようにして生まれたのか…

概念の交換過程としてのモノの売買

モノを売買するというのは、ある概念と別の概念の交換過程である、と考えることもできるのではないか。「概念」といって悪ければ、概念が体化された物体だ。貨幣も概念である。というのは、貨幣が貨幣である所以は、人がそれを貨幣だと信じているためである…