basilsの日記

イノベーションについて考察するブログ。その他、アルバイト日誌、感想文、雑感など。

アーキテクチャ論から見る、概念づくりのプロセス

  新しい概念が生まれる過程は、アーキテクチャ論によって分かりやすく表現できるかもしれない。すなわち、以前(http://basils.hatenablog.com/entry/2013/05/19/015925)に書いた「足し算的過程=既存の概念と概念を組み合わせる過程」は組み合わせ(モジュラー)的過程、「引き算的過程=余分な部分を削り落として、概念を切れ味の鋭いものにしていく過程」は擦り合わせ(インテグラル)的過程、と言えるのではないか?
 
  既存の概念と概念を接合するとき、そのインターフェースがぴったり合うことはまずないだろう。異なる概念は異なるバックグラウンド、異なる問題意識、異なるプロセスから生まれるものだから、それは当然だ。概念が1つのブロックだとすると、そのブロックを単にくっつけただけでは全体の形はでこぼこしている。これでは新たな1つのブロックとは言えない。この時生じているのは、中国の自動車メーカーで行われているようなラフな組み合わせ的過程と言えるだろう。
 
 そこで、インターフェースを調整し、かつ概念で説明しようとしている事象との当てはまりもよくする必要がある。重量級プロダクト・マネジャーにまつわる用語を借りるならば、前者が内部統合、後者が外部統合だ。このプロセスは、重量級プロダクト・マネジャーが製品開発において行うのと同様、擦り合わせ的過程である。
 
 その結果完成するのが、新しい概念である。これは徹底に擦り合わせが行われた製品と同様、その歴史を顧みることを許さない。労作の痕はない。
 
 また概念の操作化は、他の概念との接合を行いやすくする、インターフェース設計の作業になぞらえられるだろう。いわば、モジュラー化である。