basilsの日記

イノベーションについて考察するブログ。その他、アルバイト日誌、感想文、雑感など。

アーキテクチャ論で論じる、概念の「切れ味の鋭さ」の正体

 アーキテクチャ論を応用すれば、概念の「切れ味の鋭さ」の正体も説明できるかもしれない。切れ味が鋭い概念とは、概念と現実の擦り合わせ=外部統合と、概念を構成しているコンポーネント間の擦り合わせ=内部統合、の両方に成功している概念のことではないか?
 
 もともと外部統合と内部統合というのは、重量級プロダクトマネジャーを定義するときに使われた概念だ。まず外部統合は、顧客の多様なニーズを集約し、1つの明確なコンセプトにまとめ上げる営みだ。そして内部統合とは、このコンセプトの実現のために各コンポーネント、各部門間で調整をすることだ。
 
 これがアーキテクチャ論と関係するのは、重量級プロダクトマネジャーという概念がそもそも自動車開発の研究から生み出されたためだ。自動車は、顧客のニーズが多様かつ曖昧であり、機能と構造の対応関係が複雑な製品である。そしてこれらの特性のために、良い自動車を開発するには外部統合と内部統合が必要になる。このうちの特に後者、機能と構造の対応関係が複雑であることが、アーキテクチャ論と関係してくるのである。
 
 こうした製品開発研究における外部統合・内部統合とやや意味がずれてしまうが、「良い概念」を生み出す場合にもこれらが大事だと言えるのではないか?