basilsの日記

イノベーションについて考察するブログ。その他、アルバイト日誌、感想文、雑感など。

コールセンター業務のアルバイトを、徹底的に振り返る

 コールセンター業務のアルバイトに行った。1週間後の参院選に関する電話調査で、7月13日が研修、14日と15日が実務だった。研修は10時から12時の2時間、実務は朝9時から夜9時までの12時間だった。時給は1000円で、7月26日に振り込まれる。
 
 部屋は奥行き15メートル、幅150メートルほどの細長い形だった。そこに4人がけの机がびっしり並べられていた。4人×5人の「島」が、15個ほど横並びになっていた。
 
 各「島」は2つくらいのグループに分けられており、1つのグループが1つの県と、おおよそ対応していた。僕が入ったのはGグループで、千葉県へのコールを担当した。
 
 電話する先の番号は、ランダムに決められる。そのため、実際使われている番号にヒットするまで待たなくてはいけない。実在の番号にかかると、ステータスが「着信待ち」から「通話中」へと変わる。しかし、半分くらいは留守番電話かFAXである。その場合は、メッセージを残さず切電する。
 
 残りの半分では、相手が電話にでる。そこで、予め用意されているオープニングの口上を述べる。この、相手が「もしもし?」といい、こちらが「突然ご連絡させていただき、誠に恐れ入ります」から始まる口上を述べる最初のやり取りが、大事だと思う。ここで無用な警戒心を起こさせないこと、「もうちょっと話を聞いてやってもいいか」と思ってもらうことが、まずは必要だ。
 
 僕は、相手の「もしもし?」の口調や声質から相手がどんな人かを想像し、それに合わせた話し方をするように心がけていた。お婆さんであれば息継ぎの回数を多く、ゆっくり、抑揚をつける。はきはきしたおじさんであれば流れるように、やや早口で話す。このように、話すスピード、抑揚、息継ぎの回数、声質などを相手に合わせるのである。
 
 しかしどんな場合でも重要だと思ったのは、堂々としていることである。堂々と話していれば、「これは悪い話ではなさそうだ」と思ってもらえる。そして、「彼の話を聞くのが当然のことなのだな、みんなやっているのだな」と自然に感じてもらえる。忙しくて切られる時も、「すみません、失礼します」と割合丁寧に切られる。
 
 反対に、へりくだりすぎるのはよくないと思う。申し訳なさそうに「ご協力いただけないでしょうか?」と頼み込んでも、あまり効果が無い。逆に、申し訳なさそうにしていることが、「こいつは申し訳ないようなことをしているんだな」という反感を招いてしまう。話す内容自身ではなくて、話し方で、話す内容への予断を持たれてしまうのである。
 
 またコールセンターでは、人の話し方が変わる。自然に話した方が魅力的で、相手に心地よく、当人にも負荷が軽いはずである。にもかかわらず、コールオペレーターは声を作って、オペレーターとしての役割を演じる。それで相手を不快にさせても、そうすることで自らの非人間的役割を全うすることこそが、相手への礼儀だとでもいうようだ。
 
 無事に協力をOKしてもらえたら、フロー通りに質問をしていく。若者の意見が不足しているため、20代男女・30代男性に、特に重点的に協力してもらう。アンケートの中身に入ってしまえば、もうこっちのものである。テンポよく質問していき、回答を記録する。
 
 スーパーバイザー(SV)という現場監督からは、「アンケート途中で切られそうになっても、『あと1,2問ですので』と返してください」と指導された。しかし、僕の場合それは1回しか起こらなかった。テンポや間に注意して、相手を飽きさせないことが大事だと思う。
 
 質問が終わったら、協力を感謝して切電する。結果登録をして、また「着信待ち」のステータスに入る。「着信待ち」中に、一休みできる。
 
 SVは、1つの島に一人いる。業務中は、島の周囲を巡回している。島の誰かが手を上げると、そこに素早く駆けつける。個々のオペレーターという細胞に、SV達が血液として活動維持のためのサービスを提供しているのだ。
 
 また、島全体への指示にはB4のカンペを使う。通話先に大声が伝わってはいけないためである。SVはテレビのディレクターのような気分で、気合を入れてカンペを書いている。カンペを見せるときのSVたちは、溌剌としている。
 
 このSVは、オペレータ経験が1年以上ある人たちで、オペレーターと同じ企業から派遣されている。そのためか、オペレーターとSVの一体感は強い。「今回もよろしくお願いしますね」というような会話が、よく交わされる。
 
 これに対し、工場での惣菜づくり業務では、現場監督はそこの正社員のようである。この業務の経験者は、「正社員が偉そうにしてて嫌だ」と言っていた。現場監督の経歴や所属が、現場監督と作業者の関係や、作業者のモチベーションに大きく影響するようである。