basilsの日記

イノベーションについて考察するブログ。その他、アルバイト日誌、感想文、雑感など。

高山の酒蔵めぐりから考察する、ビジネスモデルの役割について

 先日、高山の酒蔵めぐりに行った。そこで気づいたことについて書いてみる。
 
 隣同士の酒蔵でも、試飲の方式が違う、つまりベストな方式に収斂しないというのが興味深かった。
 
 一つ目の方式では、無料だが勝手に飲むことはできず、店の人に注いでもらう。店の人から蘊蓄を聞けるが、会話が煩わしい・買うように圧力をかけられるという難点がある。
 
 二つ目の方式は、無料ではない。しかし、100円でぐい飲みを買ってそれで自由にいくつものお酒を試飲できる。有料だが自由に飲め、しかもぐい飲みというお土産ができる。
 
 僕と彼女は、二つ目の方式の方がいいと思った。多くの人も、そうではないか。100円を払って、原価100円以下のぐい飲みを買うのだから、何の対価も払わずに試飲できる一つ目の方式よりも一見すると損している。しかし、心理的負担や気兼ねという目に見えないコストを考えると、トータルでは二つ目の方式の方が「得」になる。
 
 さらに面白いのは、一つ目の方式よりも2つめの方式の方が、店側も得をするということ。試飲用のお酒のコストは同じだと仮定すると、それ以外に収益や費用が生じない一つ目の方式よりも、ぐい飲み販売による利益が生じる二つ目の方式の方が明らかに得。たくさんの人が二つ目の方式の店で試飲をすると推測すると、実際には試飲用のお酒のコストは二つ目の方式の店の方がかかっているはずである。しかしその余計にかかるコストを補って余りある利益が生じるはずである。その上、二つ目の店の方が試飲をする人が多いとすると、実際に買う人も二つ目の店の方が多くなるはずである。そうなれば、二つ目の方式の利益はますます増える。

 このように些細なビジネスモデル(大げさに言えば)の違いで、誰も得をしなかったり、売り手も買い手も「得」をしたりするのが面白い。そしてこうしたwin-win関係を作り出すことこそ、ビジネスモデルの役割なのだろう。