basilsの日記

イノベーションについて考察するブログ。その他、アルバイト日誌、感想文、雑感など。

文献講読のレジュメ作成の方法

 学部の4年生になり、経営学の専門的な文献を読む機会が増えた。それで、文献のまとめレジュメを作る機会も増えた。僕のとっている文献講読の授業では、ほぼ毎回のレジュメ提出が義務づけられているためである。
 
 これはむろん、履修者がきちんと予習してきているかを監督するためでもあるが、それ以上に、レジュメを作る習慣をつけさせようという意図が強いらしい。僕の行く大学の文献講読は、研究者の卵を育てることを第一の目標としている。そこで、修論を書いたり、その後も研究を続けていく際の基本動作として、レジュメ作成を練習させているのである。野球やテニスにおける素振りのようなものだと思う。あるいは、「滝行」のようなものといってもよい。後から後から迫ってくる論文の束に、ひたすら頭を打たれるようなものだ。僕自身にとっては、滝行という喩えのほうがしっくりくる。
 
 そこで、せっかくたくさんレジュメを作るのだから、どうやってレジュメを作ればよいかを自分なりにまとめてみた。自分が何となくやってきたことを意識的にまとめてみることで、自分自身の指針とするのが最大の目的である。また、書き出すことで改善点が明確になるというメリットも大きい。トヨタ生産方式を確立した大野耐一いわく、「標準なくして改善なし」。ここでいう標準とは作業標準のことで、組立作業における動作をコンマ秒単位で指定した「振り付け」である。今回のまとめは、いわば「レジュメ作成における作業標準」を作ってみようという試みだともいえる。
 
 
①レジュメ作成の目標
 
 レジュメを作るのは、「10年後に見返して、何が書いてあったか・自分がそれを読んで何を考えたか」をぱっと振りかえれるようにするため。そのため、単なる文献の縮約図では意味がない。コアの主張などはおさえつつも、その他の部分に関してはメリハリをつける。自分が感銘を受けた箇所・面白いと思った箇所を重視する。そして、コメントをたくさん書くようにする。
 
 ただし、文献の内容と自分のコメントは厳密に区別する。後から読み返して混同しないため。
 
②レジュメに書く内容
 
上から順に、作成日付・文献タイトル・作成者・(章や節のタイトルと中身)×章や節の個数分・自分のコメント・注釈
 
②レジュメ作成の手順
 
最新のレジュメをコピーする。ページ番号設定、余白、フォントなどをいちいち設定するのは面倒である。そこで新規ファイルは作成せず、直近に作ったレジュメをまずはファイルごとコピーする。
タイトル・目次・章立てなどを変更。まず文献の全体を通して眺めて、章立てや流れを確認。
ある章・節の全体を通して眺め、各項のタイトルを確認。レジュメに反映させる。
適切な長さごとに、読む→アンダーラインを引く→必要な個所をレジュメにまとめる を繰り返す。
最後まで読み終わったら、エバーノート内に文献のノートをつくる。検索をかけて、読了・未読了などの状態を素早くかつ一目瞭然に把握できるようにするためである。ノートは冒頭に文献タイトル、次行に「読了」または「一部読了」、そしてレジュメのコピペ。なるべくレジュメの原型を保ったままコピーできるよう努力する。そのほうが見やすい。
 
 疑問・アイデア・解釈など自分の意見は、基本的に一番最後の「コメント」にまとめる。思いつき次第、本文中にはメモせず直ちにレジュメに書く。ただし、語句の解釈など些末なものは、自分の解釈と分かる形で注釈にもぐりこませる。
 
 
③アンダーラインの引き方
 
緑線:その文献の目標・貢献など、文献のコアとなっているような箇所。その文献を一言で要約するならどこを引用するとよいか、を表している。
 
赤線:重要な個所。各段落の内容を端的に要約してある文など。
 
赤波線:重要で、注意すべき個所。それまでの主張と逆のことを言っていたり、主張の制約条件を述べている個所など。赤線と赤波線を合わせて理解することで、その文献の骨組みを立体的に理解できる。
 
青線:筆者の主張やその論証にとってはさほど重要な個所ではないが、自分にとって重要・面白いと思われた箇所。赤線で引くと、筆者にとって重要な個所と混同する恐れがあるので色を変える。