basilsの日記

イノベーションについて考察するブログ。その他、アルバイト日誌、感想文、雑感など。

池で会ったH君との話

 大学の池で、高校の同窓生(H君)とばったり会った。ラジコンヨットを池に浮かべられないか見にきたらしい。ベンチで数時間話したあと工学部の建物を案内してもらい、夕食を食べた。そのとき聞いた話があまりに面白かったので書いてみる。変わり者に話しかけられることがけっこう多いが、面白い話を聞けるので重宝している。
 
 
・働きたくない。手早くお金持ちになって、プロペラ飛行機を買いたい。安いものだと、輸送費込みで500万円、年間維持費数十万円くらいですむ。クルマに毛が生えた程度の額。イタリア製。安全性は低い。
 
・走査式電子顕微鏡が普及するかもしれない。いまは50cm四方位で1000万円。100万円くらいになれば、だれでも買えるようになるはず。パソコンと同じように、とんでもない用法が見つかって生活を変えるかもしれない。
 
・リンの回収が、今後重要になるかもしれない。肥料に必要だが、リン鉱石は枯渇しそう。海中の濃度は薄いので、海水から濃縮するのはむずかしい。そこで、下水から回収する必要が出てくるかも。あるいは、人糞やイワシで肥料をつくるとか。こういうあまり表に出ない情報は、人づてで仕入れるのが最速。あと日経サイエンスのような専門誌。
 
・エネルギー確保のためには、核融合の実現が不可欠。
 
・お金は使う人のもとに集まる。稼いでから使うのではなく、必要で情報に敏感になっている人のもとに集まる。そういう人の周りには情報が集まる。
 
・日本人は消費が下手。海外旅行と車、パチンコくらいしか大きな消費対象がない。アメリカだと、年収1200万円くらいある人は大きな家にトレーラー、ガレージ、DIY用品一式をそろえている。すごい人になると、ソ連製の訓練用戦闘機を持ってたりする。カリフォルニアから東海岸まで5時間で往復できる。買ったときは機関銃がついていた。こういう話を聞いて、無条件にワクワクしてしまった。アメリカはスケールが違う。個人の自己実現という意味でも、有効需要創出という意味でも「よりよく消費する」ことが必要。消費は悪ではない。明るく前向きな消費、という考え方に日本人はなじみにくいのではないだろうか?
 
・「人類が生きていくためには何が必要か?」という視点から考えると、おのずと必要なものは見えてくる。エネルギー、水、食糧、安全は不可欠。
 
・人類が滅亡するまでにどこまで宇宙を理解できるか、が人類にとって大事である。そのためにはなるべく長く生存しなくてはならず、さまざまなものが必要になる。ただしこれは、個人の趣味的な尺度。
 
・遊び人で、勉強が大嫌いな先輩がいる。グライダー、乗馬、酒などをたしなんでいる。3年の11月になって就活をはじめ、H君に就職先を相談した。H君は、商船会社がいいのではないかといった。その先輩に合っていると思ったし、船長になれれば年収もいい。2000万円くらい。6か月航海して2ヵ月休みというサイクルなので、長い休みがとれる。結局その先輩は商船三井に就職。貨物船・LNG輸送船の船長をめざす。面接は飲み会形式で、最初にきかれた質問は「お酒は飲めるの?」だった。細かいことを気にせずおおらかで、遊び方を知っている人が向いているらしい。船に乗るのが嫌になったら陸上勤務も。航海している時間の方が長いので、家を持たずに世界中にアパートを借りて暮らす人が多い。大航海時代の遺物みたいなライフスタイルが今もまだ残っていることに驚いた。
 
・人生、守りに入ってはいけない。大銀行に勤めるなどもってのほか。H君のお父さんは某メガバンクに勤めている。全然面白みのない人だが、その人にとってさえつまらない仕事。ルーチンだから退屈という以上に、銀行内の汚い部分が見えるのが嫌。小金が欲しくて(あるいは退屈まぎれに?)インサイダー取引に手を染めたりする人もちらほら。僕には、あまりにも退屈でそうした火遊びをしないと心のエネルギーを得られないのじゃないかと思えた。文字通り、退屈で死にそうなのだと思う。
 
・機械的加工のための工作機械(NC工作機械など)のほうが、光学的に加工する機械(レーザーでの加工など。3次元プリンターもその一種)よりも圧倒的に高い。前者は億単位、後者は数十万単位。光学加工は、ソフトウェアでの制御ができるため、部品の精度が高くなくてよい。工作機械は部品の精度が全て。
 
 こういう話を聞いていると、いろんな人生があるのだなあという感慨を新たにする。そして、毎日1本論文を読むことを目標にしている自分はどこにいけるのかとも思う。