basilsの日記

イノベーションについて考察するブログ。その他、アルバイト日誌、感想文、雑感など。

概念創出のI/O比

 新しい概念のインパクトを決める変数は、その概念のインプット/アウトプット比ではないか。つまり、概念へのインプットがより多く、アウトプットとしての概念がより簡潔であればあるほど、その概念のインパクトは大きくなるのではないか。
 
 たとえばホンダには、ワイガヤという会議の方法がある。これはかなり独特な新製品開発の方法である。一度ワイガヤがはじまると、3日3晩ぶっ通しで「このクルマの本質は何か?」について激論が交わされる。最後の方では、もう言うべきことが全部出尽くしてしまって疲労困憊している。そんな中で誰かが、ふと一言いう。するとその一言が決定打になる。「そうだ、それだよ!」とみんなの共感を呼び、「これならいける」という確信が生まれる。みんなで必死に知恵を振り絞った末の一言なので、説得力があり、さまざまな連想を引き起こす。
 
 これなどは、何十人もの人間の3日3晩にわたる必死の努力という多大なインプットが、たった一言という簡潔この上ないインプットに収斂している好例ではないか。
 
 あるいは、アイデア創出の方法としてもはや定番になった感のあるブレインストーミング。ブレストの最も重要なルールは、「質より量」である。一つ一つのアイデアの質より、ダメなアイデアでもいいからとにかく量を出せ、というルールである。このルールも、とにかくたくさんのインプットを行うことを目的としているのかもしれない。初めの方に出るアイデアにはあまり期待せず、とにかくインプットを大量に行う。そうするとやがてアイデアが出尽くす。それでも何かないか、と頭をひねることで、強力なアイデアが出てくるのではないか。これも、大量のインプットから簡潔なアイデアを生もうとする仕組みの例だろう。